SARSを追え(7)2003年10月28日

社会●SARSを追え(7)
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 私は日本リザルツという国際NGOでこれまで結核やエイズなどの感染症の問題について日本政府にまともな対応をするよう国会議員や外務省にお願いをしてきました。
 一方ではタバコを吸うことによるガンの発病が日本に蔓延している問題が放置され続け多くの日本国民がガンで死んでいる(これからもいっぱい死ぬ)ことについてもこれまで厚生労働省に質問をしてタバコを即刻麻薬に指定して禁止するよう求めてきました。
 そして、自分がSARSのことを調べるにあたり医学知識を学び始めて実は結核・エイズ、SARS、ガンの3つがある一点でつながることに気づきました。
 それは「免疫」です。
 私は5月以来、有能な医学研究者らと出会うことができました。以前からガンについては埼玉がんセンターの野口行雄先生(東北大学医学部出身)、今年になってエイズについてはセス=バークレー先生(ロックフェラー大学医学部出身)、SARSについては岩本愛吉先生(東京大学医科学研究所)。彼らに私の思っている疑問をぶつけてみました。またインターネット上ですが山内一也先生(東京大学名誉教授)の「連続講座 人獣共通感染症」
も面白いのでほとんど読みました。
 しかし、山内先生の講義を読んでいて思ったのは獣医学というのは「隠れた医学」なのです。今回のSARSは「人獣共通感染症」といちおう片付けられています。もともとは動物から人間にウィルスがジャンプしてうつった……それがハクビシンなのかサルかはいまだにわかりません。
 私は根路銘(ねろめ)国昭先生がこの間発表したSARSウィルスの系統樹の論文……世界で系統樹を初めて作成しその源流はさかのぼればおそらくトリなどの動物だった……という発表は信じていません。自然界のしかも動物のウィルスという結論には都合がいい理屈で、WHOも胸をなでおろしているでしょうが無理があります。
 なぜなら、この連載の冒頭でも書いたようにウィルスの突然変異ではそのウィルスの力が弱くなることはあってもSARSのように凶悪にはならないのです。ですから、今回の件で自然界のウィルスの突然変異説はどんな医学者が言おうがウソです。
 ウィルスは人為的に合成し選別して培養したときに初めて前より強くなれるのです。
 そして、ウィルスの研究は軍事であろうが平和のための医学研究であろうがまず動物で実験が行われます。
 SARSはコロナウィルスの一種と考えられています。そのコロナウィルスは動物のウィルスがほとんどです。
 しかも、SARSウィルスは他のコロナウィルスと違ってミドリザルの腎臓細胞で培養ができたのです。これはおかしいのです。ハクビシンの細胞ではないのです。
「ミドリザルの腎臓細胞で培養できたウィルス」というのはどちらかというとまさにマールブルグ病ウィルスなどの凶悪な出血熱ウィルスとかなのです。ちなみに日本でも問題になった「O157」もミドリザルの腎臓細胞から得られるベロ毒素に由来するものです。(この点からも私は細菌O157は以前この新聞で読者の青龍氏が指摘した生物兵器ではないかという説……にもしかしたら?と思い出しているのです。)
 あのエイズでさえ初期は「アフリカのミドリザルから人間にサルのエイズウィルスがうつった」なんてことがまことしやかに言われていたのです。(いまだに言われている)
「ミドリザルが出てくるものは怪しい」と読者は思っていてください。
 つまり、人体実験は旧日本軍の731部隊のようにやると非人道的なので大問題になりなかなかできませんが、サルをはじめとする動物には「人権」は無いし「非動物道的」ということばすらないので、いくらでも残虐な生体解剖やウィルス注射ができるのです。そして現実に世界各国で今もやっています。軍から民間まで……。1960年代には生きたサルの首を外科手術でちょんぎって輸血だけで2週間首だけ生かしたなんて実験さえ正々堂々と行われて、その成果は医学界で賞賛されたのです。いずれ人間にも応用できるから……。
 獣医学は一般的には「犬猫病院」と思われますが、実は医学者にとってあらゆる狂気が試せるかっこうの場所なのです。私はこれまで人間の医学に比べると影が薄いと思っていた獣医学は生物兵器の研究開発と密接なのだと認識しました。
 
(内海君:小市民)  
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SARSを追え(4)2003年9月20日

社会●SARSを追え(4)
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 さて、読者のみなさん(No.271:2003/6/10:科学●SARSについて読んでおいてほしい本)で読んでおいてほしいとお願いした
1.「死の工場」シェルダン=H=ハリス著、近藤昭二訳 柏書房刊
2.「バイオハザード」ケン=アリベック著、山本光伸訳 二見書房刊
3.「ホットゾーン」リチャ-ド=プレストン著、高見浩訳 小学館刊(あるいは飛鳥新社)
お読みいただけましたか?読んだ方はこれから私の説明することがよくわかると思います。

まず、以下の認識にいたるわけです。
1.旧ソ連はアメリカをはるかにしのぐ「生物化学兵器」大国で、技術水準も高かった。
2.旧ソ連ではあらゆる役所(農業省やら商工省にあたるものから、大学の医学部、医学研究所)が裏で生物化学兵器組織をもっており、莫大な予算と頭脳が投下されていた。
3.旧ソ連の生物化学兵器技術者は表向きは優秀な医学者、科学アカデミーの会員で一般の人が会っても裏でそういうことをしているとは思えないように善人を装っていた。
4.旧ソ連は世界中からあらゆる病原体を集め、天然痘、炭素菌、マールブルグ病などを熱心に研究していた。
5.旧ソ連の生物化学兵器研究施設、軍の生物化学兵器貯蔵庫などの施設は40か所以上もあった。
6.生物化学兵器の製造を指示していた大元はKGBであり、ゴルバチョフ、エリツィンら歴代の書記長はその実態を把握して自分たちで開発の指示をしていた。
7.アメリカとソ連は相互に生物化学兵器の開発をしていながらお互いにばれそうになると国際的に非難されるので外交取引で隠しあっていた。(このことは現在も生物化学兵器条約がふぬけな条約であることからもわかるでしょう)
8.旧ソ連からロシアになっても生物化学兵器の研究開発は弱まることなく続けられている。また、大量の科学者がイラン、イラク、北朝鮮、キューバ、中国、インドなどアメリカの仮想敵国に雇われたり技術指南を行っている。
9.旧ソ連はエボラウィルスと天然痘をDNA操作で合体させたウィルス兵器などの開発に成功した模様。
10.DNA組換え(遺伝子操作)でウィルス兵器を作り出すことは可能でどんどんやっている。
11.生物化学兵器の研究、製造中の事故はよくあるが、その際一般市民が巻き添えになると軍および政府は、まず原因の調査や発表を遅らせ、必ず「正体不明の病気が流行」などと世界中に発表する。
12.旧日本軍の細菌兵器部隊「731部隊」の研究成果は敗戦後アメリカとソ連の両国に、兵士や研究者が取り込まれ、大いに活用された。つまりアメリカが公的に発表している「731部隊の人体実験の成果は標本など使い物にならなかった」はウソである。
13.ソ連は旧日本軍の731部隊兵士捕虜などを活用して、スベドロフスクにソ連初の巨大生物化学兵器研究所を設置した。設計図は731部隊がハルビンに建設した悪名高い研究所のものを使った。
14.アメリカにおいてバイオ技術の最先端の科学者と研究設備を持っているのは実はCDCや大学の研究施設でなく陸軍の持つ生物兵器研究所のフォート・デトリックである。
15.アメリカ・旧ソ連にしても常に表に出てこない軍の抱える科学者が最先端科学技術について民間の科学者より先をいっており、その成果はたとえ学術的に画期的だったとしても、上層部の許可がされるまで発表されなかったりすることも多い。
16.中国は第二次大戦以来、日本に対しては731部隊の件で人道的に責め立てているが、一方で自分たちは生物化学兵器の研究を長年やっており、しかもあろうことかアメリカ軍と共同研究して人体実験まで行っている。4万人もの人員で研究をしている。
17.共産主義国家で大学医学部の教授、医学研究者と名乗る人間は基本的に裏で生物化学兵器の研究開発に携わっていると思って間違いない。
18.朝鮮戦争でアメリカ軍は731部隊のメンバーを使って細菌兵器を戦場で使用し、これによって多数の人が死んだ。
19.国家どうしが細菌兵器施設の疑いをかけて相手国の査察をしても、あらかじめ設備がばれないように偽装工作をしてしまうので見破るのは難しい。だが、査察を行う調査団にお互い軍の研究者を混ぜて送り込むので内心わかっている。
20.旧ソ連がある生物化学兵器を開発しているときなぜか相手国も同レベルのものを開発していることが多い。
21.いくらP4レベルの実験施設で密閉しても、研究者が買収や裏切りで菌を外部に持ち出すことは防げない。容器が小さいためすぐポケットに入れて持ち出せるからである。
22.日本の自衛隊はアメリカに出向いて生物化学兵器訓練を受けている。

(内海君:小市民)

SARSを追え(3)2003年7月31日

社会●SARSを追え(3)
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 5月の下旬、ある宗教団体のA婦人から「パーティがあるので来ませんか」というハガキが来ました。私は都内の教団施設を訪れました。
 久しぶりにお会いしたA婦人とサンドイッチなどを食べながら私は、自分がカゼで連休寝込んで、やっと治って来れたことや、病床でSARSについて調べていたことを話しました。婦人は体調が悪かったので、本当はこういうウィルスとか病気の話、ましてやSARSが生物化学兵器などというエグイ話はすべきではなかったのですが、私もこのやるせない状況を誰かに知ってもらいたかったのです。
「こんなことがわかっても、世間の多くの人達は知らないままです。」
私はため息をついて言いました。
 婦人は驚きながら私の話を聞いた後、会場内である紳士が私達の前を通りかかると彼を呼び止め私を紹介しました。
「あなたの話、この人ならいいかも。」
 彼女が去ったあと私はB氏と話しました。
 B氏はスーツを着こなした中年の上品な紳士でした。彼はある国の国防省の仕事をしていると話しました。「ちょうどいいじゃないか……」私はこれまで自分が調べたことを一気に話しました。

内海君「SARSウィルスのDNAを調べてみたら。マールブルグ病や実験マウスやら、自然と関係ないDNAばかり出てくる。もしかして生物化学兵器じゃないんでしょうか。」
B氏「そんなの、公然の秘密ですよ。」
彼は微笑しながらあっけなく認めました。
内海君「そうですか。じゃあ、実験が失敗した?」
B氏「おそらく、動物に感染させて野外に放したりしてどうなるか見ていたりしたんじゃないかな。」
内海君「そんなこと平気でするんですか?」
B氏「中国には少なくとも3ヶ所は実験するところがある。」
内海君「広東?」
B氏「いや違いますね。もっと別の場所です。」
内海君「いったい誰が作ったんでしょう?」
B氏「『西側』でしょうね。」
内海君「え?そんな……中国(軍)は?」
B氏「ちょっとはかんでいるかもしれないけど、基本的に『西側』でしょうね。」
内海君「アメリカとか、ヨーロッパとか?ですか?」
B氏「そうですね。」
内海君「中国の国内ですよ。どうして、連中がそんなことできるんですか?」
B氏「……政府というよりはおそらく……ファミリーでしょうね。」
内海君「ファミリーって?……ロスチャイルドとか、ロックフェラーとか、フセインやらマルコスとか……。」
B氏「というか、まだいっぱいいますよ。」
内海君「超お金持ちなら軍隊だろうが、細菌兵器の開発だろうが自分たちでできるというわけですか?」

内海君「そんなことして何がいいんですか?それに『西側』って言ったって、じゃあ、どうして『西側』の一員のカナダで被害を出したんですか?」
B氏「だから、今回の唯一の誤算はカナダで被害を出したことでしょうね。」

 それから、雑談していて彼のしてきた仕事や交流関係を知ったのですが私の想像を超えていました。面白かった。彼は特殊工作員と表現したらいいのでしょうか。私は007のような諜報部員や、GIジョーのようなたくましい人が政府の任を受けて銃弾をかいくぐって何かをしていると思っていました。でも、今目の前にいる彼は国内では人知れない自営業者であり、健全な一市民なのです。しかしメジャーでもないのに仕事はすごい。彼は資産家でもあるようです。でも、日本に資産はあまりありません。日本では貧乏人を装っています。そして海外では豪邸をたてているのです。彼の家の建て方を聞いたのですが笑いが止まりませんでした。日本のその辺の工務店がやる程度の話を超えていました。これじゃゴルゴ13ではないですか。

 彼らのような専門知識を持った「エージェント」は国防省から依頼を受けると世界中から呼び集められ、必要ならジェット戦闘機であっという間に飛んでくるのです。国籍もさまざまなのだそうです。そしてテロや緊急事態への対応を行うのだそうです。
 彼の話を聞いて、私はなぜマレーシアのマハティールとかが反米スタンスをとるのかわかりました。日本はアメリカに占領され政治も経済もほぼ完全支配されているのですが、少なくともアジアの国は内心アメリカの支配を嫌っている。だから彼らは常にアメリカやら「西側」の手口を調べてその真実をつかんでいるのです。
 それと同時に諜報員や特殊工作員というのは実は私たちのような小市民の周りに実は何食わぬ顔をして生活しているのだと、このとき実感しました。

 3時間近く私達は夢中でいろいろなことを立ち話していました。
 私は、彼に名刺をもらおうとしましたが、彼は資産家や重要な仕事をしている人によくある行動としてそれを断りました。そしてどこ知れず帰っていきました。

(つづく)
 
(内海君:小市民)

SARSを追え(2)2003年7月8日

社会●SARSを追え(2)
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 実は、5月から調べ出して今の時点でも、大学の先生、諜報関係者、医学者どなたでもいいんです。
「内海君、違うって、あれはただの病気さ。生物兵器なわけないよ!」
と証拠でも出していただいて、それこそ私の無学をただして説明してもらえれば、私自身こんなに気が楽なことはないのです。
でも、調べれば調べるほど、周りに出くわす人に聞いてみるたび私の見解は徐々に正しいことになってしまう……。

病気:「マールブルグ病」「サルエイズ」「種痘症」「ネズミ肝炎」「クラミジア」「肉腫ウィルス」
動物:ショウジョウバエ、マウス、ゼブラフィッシュ、ヒトゲノム
植物:オリザサティバ(中国のイネ)、ライスジャポニカ(日本米)
 コロナウィルスなんてどこぞや?出てくるのはきわめて凶悪な人間の病原体ウィルス、バイオ操作の実験動物、アジアの人の主食のコメ……ばかりです。
 だいたい、「マールブルグ病」「サルエイズ(SIV)」というのはアフリカで捕獲された実験用のサルなどで起こり、それも自然界より自然に発生したというより、特定の研究や実験の過程で発見され甚大な被害を出した病気です。ましてや、中国に自然にあるのはおかしい。

私の脳裏にこれらのワードをつなげたシナリオがそのとき浮かんだのです。

「マールブルグ病やサルエイズのような凶悪な病気をベースにクラミジア肺炎のような呼吸器疾患系統のセキや空気感染で伝播するウィルスが合体し、イネを主食とする民族によく作用する最強の生物兵器」

もし、このような兵器があったらどうでしょうか?いかに効率良く人を殺すかにしのぎを削っている軍のマッドサイエンティストにとって「夢」のようなものです。

私は当初、「新型肺炎」なのでインフルエンザやカゼの病原菌が出てくるのだと思っていました。
ところが検索して出てきたDNAの断片がこういうもので占められているのを見て恐怖に陥りました。

「いったい誰だ、こんなもん考えたり作ったりするのは?」

だいたい、なんで実験用マウスの組織や、バイオ操作しまくっているゼブラフィッシュ、あげくの果てに中国のコメまで出てくるのか?
しかもインフルエンザ系統のカゼのウィルスが出てこない!「カゼに症状が似ているけど違う病気」
なのです。

でも、もし「マールブルグ病」やら「サルエイズ」がベースならどうする?なんかしらその「エッセンス」を受け継いでいたら?
カゼのようにセキなどで空気感染していく凶悪な病気だったら……。

 私は検索エンジンのGoogleで出てきたDNAが並ぶNCBI(アメリカの国立バイオテクノロジー情報センター)のデータを興味深く見ていました。
 たとえ、分子生物学の知識がなくても見当はつきます。DNAの配列はまさにコンピューターの言語やデータ処理系と似ているからです。私は仕事柄日々データベースを駆使してあらゆるデータを処理しています。
「結局はパターンマッチングやっているわけだ」
 私はデータベースソフトのプログラムを書き出し、片っ端からNCBIのDNAデータを加工し、照合を試みました。そして、それをエクセルのワークシートに打ち込んで一覧表にマッピングしていきました。
 すると、確かにWHO(世界保健機関)やCDC(The Centers for Disease Control and Prevention:アメリカの疾病管理予防センター)が発表した「新型のコロナウィルス」はある意味では正しくてコロナウィルスのDNAはかなりの点で一致します。さらにアストロウィルスなどのカゼの原因ウィルスも合致します。しかし、マールブルグ病やSIV(サルエイズ)など「サル」それもただのサルでなくて実験動物としてよく使われるアフリカミドリザルやアカゲザルなどが原因の凶悪なウィルスもある程度合致して優位にあるのです。クラミジアも良くあてはまりますが、かといって他の病気はあまり出てこないのです。
 ですからやはり、特定の病気のウィルスDNAと共通するところがあるわけです。

 私はこのマップをたよりに、DNA研究者達の意見を聞こうと思いました。さっそく日本で最先端のDNA研究をしていることになっている、千葉県かずさアカデミアパークにある「かずさDNA研究所」に電話しました。出てきた研究員の女性は私の説明を聞いて「Googleで調べるなんて初めて聞いた」と驚き「でも、専門家はもっと違うソフトウェアとかでやっていますから、それだけではなんとも……」という答えでした。でももっと驚いたのは、かずさDNA研究所は植物などのDNAを集めているだけとのことでウィルスについてはやっていないということでした。
 日本のような先進国でこれぐらいのことをやっているところがどうもあまりないみたいです。研究員は「あとは、国立遺伝学研究所ぐらいでしょうか。」なんて言うありさまです。
 私はJCO臨界事故やNHK「人体」などのテレビ番組で登場した東京大学医科学研究所が遺伝子治療などこういうDNA関連の研究をしていることを素人ながらに覚えていました。だから東京大学医科学研究所にも電話しました。しかし、交換手が必死になって該当する研究室をコールしても研究者も大学院生も朝からいません。よっぽど電話嫌いみたいです。
 うーん、CDCのような最先端のウィルスDNA研究って日本はろくにやっていないのか?信じられない。
 私も最近気づいたのですが、日本は確かにある部分の科学や技術は世界一のものがあるのですが、時折ごそっと抜けて何もしていないような分野がけっこうあるのです。さらに文系にいたるともう世界水準は期待できません。

 かずさDNA研究所の研究員の方が言ったように確かに単なる文字検索のエンジンのGoogleを使うというアイデアは専門家からすれば稚拙きわまりないでしょう。ところが私は前号で書いた掲示板のあるアメリカ人の投稿が興味ありました。そもそも彼はいったい何者でしょう?科学関係に興味あるだけの人でしょうか?
 彼はCDCのDNAデータをある一定のやりかたで分析していたふしがあるのです。10桁のDNA配列を使って「2回」繰り返しがある、とか「繰り返しの頻度が少ない」などと妙に専門的なことを書いているのです。ひょっとしたら専門家の使うツールを使わずともある程度、見通しを立てられる知識と技術を持った人なのかもしれません。

 いずれにせよ、私は彼の問題の投げかけから「扉」を開いたのです。

(つづく)
 
(内海君:小市民)

SARSを追え(1)2003年6月29日

社会●SARSを追え(1)
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 今回のSARS事件は私に大きな衝撃を与えました。
 5月から調べ出してその真相について大方の見通しが出て、それを検証し早くも確信にいたって……それが単純な病気の流行ではないことについて一度は絶望しました。
 正直いってこれまで自分がやってきたことやこれからのこと、今私と共に真実や正義に向かって社会のさまざまな問題に日々戦っているNGOやボランティア、学者、議員……すべての努力がこっぱみじんにされ虚空を舞うような気持ちでした。
 絶望と虚無感が私を支配し、何もしたくなくなりました。
 
 私が放送大学で最後に受けた3つの授業がありました。熊谷智徳先生の「価値生産経営論」と道家 達將先生の「科学技術の歴史に見る環境と開発」、福田秀人先生の「産業と労使の関係」でした。
 いずれも最後にふさわしい授業でした。
 
 その中で熊谷先生の授業で印象に残った言葉があります。先生は「絶望は虐殺よりもこわい」とおっしゃっていました。
 人間にとって一番苦痛なのは物理的な破壊より精神的な破壊なのです。
 わたしたち市民が民主主義の政治や行政に「絶望」して選挙に行かなくなれば簡単にファシズムが政治を支配する。
 戦場で遭難して極限下におかれた兵士で奇跡的に生還する人がいます。それは常に自分が生き延びたときはこうしようという気持ちを強く持ちつづける人なのだそうです。「もうだめだ」とあきらめた人(絶望した人)は死んでしまうそうです。
 人間の生命力はDNAのテロメアにあるようなちゃちなものではなくて、精神、魂なのかもしれません。

 いったい私の命はあとどれだけあるのか……神のみぞ知るわけですが、運を天に任せて神の導くままに生きることにしました。

 こうして気を取りなおして絶望から這い出すことができました。

 読者のみなさん覚悟してください。これから私は皆さん方を政治と行政、国際政治の戦場のまっただ中にお連れします。これらの話はあなたが内海新聞を読む今このとき永田町と霞ヶ関と世界の指導者と変な連中がうごめく戦場……マスコミが目をそむける……で進行していることです。
「絶望」しないでください。あまりにもマスコミがウソを伝えすぎてみんなに楽園(パラダイス)を信じ込ませているので。

……SARSを知らない5月まで私は「感染症」というテーマについては逆に手伝いをしている日本リザルツのNGOの活動でけっこうやっていました。対策のターゲットはおもに開発途上国……アフリカやアジアに蔓延する結核、性感染症(STD)、そしてHIV(エイズ)でした。日本政府のODA予算をそれへの対策にもっと使うように、現地にムネオ式のハコモノを作るのではなく、医者や薬を届けるように……それが私のやるべき作業でした。でもこういう問題は国会議員にとって「票にならない」テーマなのです。
 そして、感染症については一般的なことがメインで科学的側面も深く知らない状態でした。DNAについてはその「GCAT」というワードで生物の細胞はできているんだ……とかぐらいには若干の興味はありました。でも、分子生物学やバイオインフォマティクス、ウィルス学……その辺は知るよしもありませんでした。

 その「票にならない」テーマに取り組んでくれる国会議員がいました。民主党の若手、斎藤淳衆議院議員です。彼は皮肉にも加藤紘一が議員辞職をして自民党が打撃を受けているときに山形県から初当選したのです。エール大学に留学していて計量政治学の有望な研究者で将来は大学教授になるところを何をあろうか、この腐った永田町に突入してきたのです。彼の議員会館の部屋はこれまた皮肉なことに田中真紀子のいた部屋です。

 彼は一年生議員の怖いもの知らずのベンチャー精神の塊でした。しかし、以前ODAについて研究をしていたこともあったので私達の話をあっという間に理解しました。
 私達は故・小渕首相が沖縄サミットで有名な「沖縄感染症イニシアティブ」……5年間で総額30億ドル(約3600億円)を感染症対策にあてると明言しておきながら、外務省はその予算をムネオ事件で反省するどころか結局、今までと相変わらず土建屋や商社が儲かる事業(いわゆる間接的投資)ばかりに使い、医薬品や病気治療の実践を行う「直接的投資」にはハナクソみたいにしか出さない状況なのです。
 斎藤議員は今国会の予算委員会でこのことを厳しく川口外務大臣や茂木副大臣に対して追及したのです。
 もちろん、彼らはしどろもどろに官僚答弁を繰り返して逃げています。今も逃げています。

 さて、そういうさなか、4月下旬からのゴールデンウィーク、東京都庭園美術館で「ヨーロッパジュエリーの400年展」を観て近くのトラットリアで優雅な目黒区民の気分になってスパゲッティを食べて家に帰った途端のどが痛くなりだしました。あんなに元気だったのにカゼを引いてしまったのです。そして咽頭炎はひどくなり、咳も出ます。連休中私は悲惨なことに毎日家で熱を出して寝込んでいました。
 そのとき、SARSの流行が報道されていました。せっかくの連休なのに家で寝ているだけになってしまった私は痛むのどをだましだまし、ひまつぶしにインターネットをしていました。

そうしたら、次のページが検索エンジンで出てきたのです。英語の掲示板のページです。でも運営者のIto氏は日本人みたいです。

Comment from tor kristensen on April 16, 2003 08:54 PM | permalink to comment
After seeing that the CDC release the genome for SARS, I ran the genome through a standard word-frequency analysis. The SARS genome has a high degree of variablilty and is non-repetitious in nature, as you would expect an efficiently compressed set of instructions would be. However there are 8 sets of 10 nucleotide groupings that repeat exactly twice.

【訳・内海君】CDCが発表したSARSゲノムを標準的な暗号解読をした。SARSゲノムは高度な変異性があり、自然界にある反復性はなく効率的に圧縮されたかのようだ。(解説:通常自然界の生物のゲノムは無駄な反復などがあったりするが、SARSウィルスはその点は人工的に作られたようにきれいなようなのだ)しかし、10bp(10塩基)の8つのゲノム対のグループが2回繰り返されている。

#1 GTCTTGTTTG - line 3501 column 1, line 19901 column 2

#2 TGTTCCTTTT - line 3001 column 4, line 14351 column 4

#3 GGTGACGGCA - line 25751 column 4, line 28401 column 2

#4 TGCCAAGAAA - line 19851 column 3, line 1001 column 5

#5 TGTTGTCTGT - line 13151 column 3, line 16251 column 5

#6 TTAGAGTAGA - line 11801 column 4, line 13651 column 4

#7 TTACTGGTTA - line 3251 column 4, line 16701 column 2

#8 CTTGGTATTA - line 22151 column 1, line 11001 column 5

As a matter of course I have done Google searched on each of these sequences.

Interestingly each and every one of these sequences occurs in a known human infectious virus or parasite.

【訳・内海君】私はGoogleでそれぞれの配列を検索してみた。興味深いのはこれらの配列は個々およびすべてが既知のヒトの感染症や寄生虫ゲノムに含まれている。

Google Results for #1 "GTCTTGTTTG"
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-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
LOCUS HPV3 7820 bp ds-DNA VRL 04-OCT-1993
DEFINITION Human papillomavirus type 3 (HPV-3), complete genome.
ACCESSION X74462
SOURCE Human papillomavirus type 3 DNA.
REFERENCE 1 (bases 1 to 7820)
AUTHORS Delius,H. and Hofmann,B.
TITLE Primer-directed sequencing of human papillomavirus types
JOURNAL Curr. Top. Microbiol. Immunol. 186, 13-31 (1994)
REFERENCE 2 (bases 1 to 7820)
AUTHORS Delius,H.
TITLE Direct Submission
=========================================================================
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
LOCUS AC044810 194297 bp DNA linear PRI 23-JAN-2002
DEFINITION Homo sapiens chromosome 11, clone RP11-494M8, complete sequence.
ACCESSION AC044810
VERSION AC044810.7 GI:18266660
KEYWORDS HTG.
SOURCE Homo sapiens.
ORGANISM Homo sapiens
Eukaryota; Metazoa; Chordata; Craniata; Vertebrata; Euteleostomi;
Mammalia; Eutheria; Primates; Catarrhini; Hominidae; Homo.
REFERENCE 1 (bases 1 to 194297)
AUTHORS Birren,B., Linton,L., Nusbaum,C. and Lander,E.
TITLE Homo sapiens chromosome 11, clone RP11-494M8
JOURNAL Unpublished
REFERENCE 2 (bases 1 to 194297)
=========================================================================

……私は彼と同じくGoogle検索エンジンでそれぞれの"GTCTTGTTTG"を検索してみました。すると、配列に含まれるゲノムがいくつか現れました。驚くことにそれは偶然というよりはある一定の方向性で合致するものが多かったのです。
 それを私は表にしてみました。(#5,#6は疲れてしまったのでやらなかった)

No シーケンス 該当 -------------------------------------------------------------------------
#1 GTCTTGTTTG - line 3501 column 1, line 19901 column 2
・クラミジア
・ライスジャポニカ
・Halocynthia roretzi
・human papillomavirus(ヒト乳頭腫ウイルス)
・clone fq75a05.x1(←この系統はバイオ操作のクローンでできたゼブラフィッシュという小さな熱帯魚のこと)※ゼブラフィッシュやショウジョウバエ、マウスはクローンやバイオ操作の実験でよく用いられる。
・clone fb24f09.x1
・clone fk74e05.x1
・fruit fly
・house mouse
・Homo sapiens
#2 TGTTCCTTTT - line 3001 column 4, line 14351 column 4
・fruit fly
・インディカ米
・Oryza sativa
・Rous sarcoma virus(肉腫)
・NBS/LRR disease resistance protein, putative
・Homo sapiens
・Takifugu rubripes
・japonica of Oryza sativa (rice)
・house mouse
・Macaca fascicularis brain cDNA, clone:QnpA-19713
・clone fc42f09.y1
・Gonioctena nigroplagiata mitochondrial COII gene
・Norway rat

#3 GGTGACGGCA - line 25751 column 4, line 28401 column 2
・Hypothetical protein C05D9.1[Caenorhabditis elegans] 
・Colletotrichum lagenarium DNA for polyketide synthase
・Pseudomonas phage Pf1
・Oryza sativa
・65 kda antigen [Mycobacterium tuberculosis, Genomic, 217 nt].
・Acropora tenuis mitochondrion
・fm57g07.x1
・clone fl86a06.x1
・ライスジャポニカ
・house mouse
・fruit fly
・Herpes (Roseolovirus)

#4 TGCCAAGAAA - line 19851 column 3, line 1001 column 5
・Proteobacteria gamma: Shewanella
・Oryza sativa chromosome 4 clone OSJNBb0089K06
・fruit fly
・Mycobacterium paratuberculosis Triticum monococcum
・Simian immunodeficiency virus(類人猿エイズ)
・Synechococcus sp. PCC 7002
・strong similarity to unknown protein
・Vaccinia virus(ワクシニア症, 種痘症)
・Homo sapiens

#5 TGTTGTCTGT - line 13151 column 3, line 16251 column 5
Homo sapiens
(疲れたのであとはやっていない)
#6 TTAGAGTAGA - line 11801 column 4, line 13651 column 4
(疲れたのでやっていない)
#7 TTACTGGTTA - line 3251 column 4, line 16701 column 2
・Marburg Virus(マールブルグ病, ミドリザル病 (致死率の高い出血高熱病)
・simian virus(類人猿ウィルス)
#8 CTTGGTATTA - line 22151 column 1, line 11001 column 5
・Mouse hepatitis virus strain MHV-A59 C12 mutant(ネズミ肝炎・突然変異)
私は夢中になって検索を続けました。でも、表を見ていて急激にこわくなりました。「なぜ?なぜ?」
が心の中で連呼しました。
この検索結果から浮かび上がるキーワードは

病気:「マールブルグ病」「サルエイズ」「種痘症」「ネズミ肝炎」「クラミジア」「肉腫ウィルス」
動物:ショウジョウバエ、マウス、ゼブラフィッシュ、ヒトゲノム
植物:オリザサティバ(中国のイネ)、ライスジャポニカ(日本米)
コロナウィルスなんてどこぞや?出てくるのはきわめて凶悪な人間の病原体ウィルス、バイオ操作の実験動物、アジアの人の主食のコメ……ばかりです。

私の脳裏にこれらのワードをつなげたシナリオがそのとき浮かんだのです。
(つづく)
 
(内海君:小市民)

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1996年創刊マスコミが書かない真実をズバリ。

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