SARSを追え(3)2003年7月31日
社会●SARSを追え(3)
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5月の下旬、ある宗教団体のA婦人から「パーティがあるので来ませんか」というハガキが来ました。私は都内の教団施設を訪れました。
久しぶりにお会いしたA婦人とサンドイッチなどを食べながら私は、自分がカゼで連休寝込んで、やっと治って来れたことや、病床でSARSについて調べていたことを話しました。婦人は体調が悪かったので、本当はこういうウィルスとか病気の話、ましてやSARSが生物化学兵器などというエグイ話はすべきではなかったのですが、私もこのやるせない状況を誰かに知ってもらいたかったのです。
「こんなことがわかっても、世間の多くの人達は知らないままです。」
私はため息をついて言いました。
婦人は驚きながら私の話を聞いた後、会場内である紳士が私達の前を通りかかると彼を呼び止め私を紹介しました。
「あなたの話、この人ならいいかも。」
彼女が去ったあと私はB氏と話しました。
B氏はスーツを着こなした中年の上品な紳士でした。彼はある国の国防省の仕事をしていると話しました。「ちょうどいいじゃないか……」私はこれまで自分が調べたことを一気に話しました。
内海君「SARSウィルスのDNAを調べてみたら。マールブルグ病や実験マウスやら、自然と関係ないDNAばかり出てくる。もしかして生物化学兵器じゃないんでしょうか。」
B氏「そんなの、公然の秘密ですよ。」
彼は微笑しながらあっけなく認めました。
内海君「そうですか。じゃあ、実験が失敗した?」
B氏「おそらく、動物に感染させて野外に放したりしてどうなるか見ていたりしたんじゃないかな。」
内海君「そんなこと平気でするんですか?」
B氏「中国には少なくとも3ヶ所は実験するところがある。」
内海君「広東?」
B氏「いや違いますね。もっと別の場所です。」
内海君「いったい誰が作ったんでしょう?」
B氏「『西側』でしょうね。」
内海君「え?そんな……中国(軍)は?」
B氏「ちょっとはかんでいるかもしれないけど、基本的に『西側』でしょうね。」
内海君「アメリカとか、ヨーロッパとか?ですか?」
B氏「そうですね。」
内海君「中国の国内ですよ。どうして、連中がそんなことできるんですか?」
B氏「……政府というよりはおそらく……ファミリーでしょうね。」
内海君「ファミリーって?……ロスチャイルドとか、ロックフェラーとか、フセインやらマルコスとか……。」
B氏「というか、まだいっぱいいますよ。」
内海君「超お金持ちなら軍隊だろうが、細菌兵器の開発だろうが自分たちでできるというわけですか?」
内海君「そんなことして何がいいんですか?それに『西側』って言ったって、じゃあ、どうして『西側』の一員のカナダで被害を出したんですか?」
B氏「だから、今回の唯一の誤算はカナダで被害を出したことでしょうね。」
それから、雑談していて彼のしてきた仕事や交流関係を知ったのですが私の想像を超えていました。面白かった。彼は特殊工作員と表現したらいいのでしょうか。私は007のような諜報部員や、GIジョーのようなたくましい人が政府の任を受けて銃弾をかいくぐって何かをしていると思っていました。でも、今目の前にいる彼は国内では人知れない自営業者であり、健全な一市民なのです。しかしメジャーでもないのに仕事はすごい。彼は資産家でもあるようです。でも、日本に資産はあまりありません。日本では貧乏人を装っています。そして海外では豪邸をたてているのです。彼の家の建て方を聞いたのですが笑いが止まりませんでした。日本のその辺の工務店がやる程度の話を超えていました。これじゃゴルゴ13ではないですか。
彼らのような専門知識を持った「エージェント」は国防省から依頼を受けると世界中から呼び集められ、必要ならジェット戦闘機であっという間に飛んでくるのです。国籍もさまざまなのだそうです。そしてテロや緊急事態への対応を行うのだそうです。
彼の話を聞いて、私はなぜマレーシアのマハティールとかが反米スタンスをとるのかわかりました。日本はアメリカに占領され政治も経済もほぼ完全支配されているのですが、少なくともアジアの国は内心アメリカの支配を嫌っている。だから彼らは常にアメリカやら「西側」の手口を調べてその真実をつかんでいるのです。
それと同時に諜報員や特殊工作員というのは実は私たちのような小市民の周りに実は何食わぬ顔をして生活しているのだと、このとき実感しました。
3時間近く私達は夢中でいろいろなことを立ち話していました。
私は、彼に名刺をもらおうとしましたが、彼は資産家や重要な仕事をしている人によくある行動としてそれを断りました。そしてどこ知れず帰っていきました。
(つづく)
(内海君:小市民)
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SARSを追え(2)2003年7月8日
社会●SARSを追え(2)
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実は、5月から調べ出して今の時点でも、大学の先生、諜報関係者、医学者どなたでもいいんです。
「内海君、違うって、あれはただの病気さ。生物兵器なわけないよ!」
と証拠でも出していただいて、それこそ私の無学をただして説明してもらえれば、私自身こんなに気が楽なことはないのです。
でも、調べれば調べるほど、周りに出くわす人に聞いてみるたび私の見解は徐々に正しいことになってしまう……。
病気:「マールブルグ病」「サルエイズ」「種痘症」「ネズミ肝炎」「クラミジア」「肉腫ウィルス」
動物:ショウジョウバエ、マウス、ゼブラフィッシュ、ヒトゲノム
植物:オリザサティバ(中国のイネ)、ライスジャポニカ(日本米)
コロナウィルスなんてどこぞや?出てくるのはきわめて凶悪な人間の病原体ウィルス、バイオ操作の実験動物、アジアの人の主食のコメ……ばかりです。
だいたい、「マールブルグ病」「サルエイズ(SIV)」というのはアフリカで捕獲された実験用のサルなどで起こり、それも自然界より自然に発生したというより、特定の研究や実験の過程で発見され甚大な被害を出した病気です。ましてや、中国に自然にあるのはおかしい。
私の脳裏にこれらのワードをつなげたシナリオがそのとき浮かんだのです。
「マールブルグ病やサルエイズのような凶悪な病気をベースにクラミジア肺炎のような呼吸器疾患系統のセキや空気感染で伝播するウィルスが合体し、イネを主食とする民族によく作用する最強の生物兵器」
もし、このような兵器があったらどうでしょうか?いかに効率良く人を殺すかにしのぎを削っている軍のマッドサイエンティストにとって「夢」のようなものです。
私は当初、「新型肺炎」なのでインフルエンザやカゼの病原菌が出てくるのだと思っていました。
ところが検索して出てきたDNAの断片がこういうもので占められているのを見て恐怖に陥りました。
「いったい誰だ、こんなもん考えたり作ったりするのは?」
だいたい、なんで実験用マウスの組織や、バイオ操作しまくっているゼブラフィッシュ、あげくの果てに中国のコメまで出てくるのか?
しかもインフルエンザ系統のカゼのウィルスが出てこない!「カゼに症状が似ているけど違う病気」
なのです。
でも、もし「マールブルグ病」やら「サルエイズ」がベースならどうする?なんかしらその「エッセンス」を受け継いでいたら?
カゼのようにセキなどで空気感染していく凶悪な病気だったら……。
私は検索エンジンのGoogleで出てきたDNAが並ぶNCBI(アメリカの国立バイオテクノロジー情報センター)のデータを興味深く見ていました。
たとえ、分子生物学の知識がなくても見当はつきます。DNAの配列はまさにコンピューターの言語やデータ処理系と似ているからです。私は仕事柄日々データベースを駆使してあらゆるデータを処理しています。
「結局はパターンマッチングやっているわけだ」
私はデータベースソフトのプログラムを書き出し、片っ端からNCBIのDNAデータを加工し、照合を試みました。そして、それをエクセルのワークシートに打ち込んで一覧表にマッピングしていきました。
すると、確かにWHO(世界保健機関)やCDC(The Centers for Disease Control and Prevention:アメリカの疾病管理予防センター)が発表した「新型のコロナウィルス」はある意味では正しくてコロナウィルスのDNAはかなりの点で一致します。さらにアストロウィルスなどのカゼの原因ウィルスも合致します。しかし、マールブルグ病やSIV(サルエイズ)など「サル」それもただのサルでなくて実験動物としてよく使われるアフリカミドリザルやアカゲザルなどが原因の凶悪なウィルスもある程度合致して優位にあるのです。クラミジアも良くあてはまりますが、かといって他の病気はあまり出てこないのです。
ですからやはり、特定の病気のウィルスDNAと共通するところがあるわけです。
私はこのマップをたよりに、DNA研究者達の意見を聞こうと思いました。さっそく日本で最先端のDNA研究をしていることになっている、千葉県かずさアカデミアパークにある「かずさDNA研究所」に電話しました。出てきた研究員の女性は私の説明を聞いて「Googleで調べるなんて初めて聞いた」と驚き「でも、専門家はもっと違うソフトウェアとかでやっていますから、それだけではなんとも……」という答えでした。でももっと驚いたのは、かずさDNA研究所は植物などのDNAを集めているだけとのことでウィルスについてはやっていないということでした。
日本のような先進国でこれぐらいのことをやっているところがどうもあまりないみたいです。研究員は「あとは、国立遺伝学研究所ぐらいでしょうか。」なんて言うありさまです。
私はJCO臨界事故やNHK「人体」などのテレビ番組で登場した東京大学医科学研究所が遺伝子治療などこういうDNA関連の研究をしていることを素人ながらに覚えていました。だから東京大学医科学研究所にも電話しました。しかし、交換手が必死になって該当する研究室をコールしても研究者も大学院生も朝からいません。よっぽど電話嫌いみたいです。
うーん、CDCのような最先端のウィルスDNA研究って日本はろくにやっていないのか?信じられない。
私も最近気づいたのですが、日本は確かにある部分の科学や技術は世界一のものがあるのですが、時折ごそっと抜けて何もしていないような分野がけっこうあるのです。さらに文系にいたるともう世界水準は期待できません。
かずさDNA研究所の研究員の方が言ったように確かに単なる文字検索のエンジンのGoogleを使うというアイデアは専門家からすれば稚拙きわまりないでしょう。ところが私は前号で書いた掲示板のあるアメリカ人の投稿が興味ありました。そもそも彼はいったい何者でしょう?科学関係に興味あるだけの人でしょうか?
彼はCDCのDNAデータをある一定のやりかたで分析していたふしがあるのです。10桁のDNA配列を使って「2回」繰り返しがある、とか「繰り返しの頻度が少ない」などと妙に専門的なことを書いているのです。ひょっとしたら専門家の使うツールを使わずともある程度、見通しを立てられる知識と技術を持った人なのかもしれません。
いずれにせよ、私は彼の問題の投げかけから「扉」を開いたのです。
(つづく)
(内海君:小市民)